管理人の独り言

過去ログ154 2012/4/4 0:39

▼真鍋周平
備忘録 新婚旅行編 その60
・彫刻

オルセーには「弓を引くヘラクレス」の彫刻がある.
この彫刻の描かれた賞状を中学時代に何枚か貰った記憶があり
まさかオリジナルの作品がオルセーにあるとは思わなかった.
他の賞状に印刷されていた別の彫刻やメダルに彫られた神殿や競技者の絵も
きっとどこかにオリジナルの作品があるのだろう.

彫刻についてはあまり印象に残っている作品はないが
周囲に設置された椅子で寝ている日本人観光客を
チラホラ見かけたことをよく覚えている.

もしかしたらルーブル→オルセーとはしごして
疲れ果てて寝ていたのかもしれない.

>>>>>>

オルセー美術館ともなると展示物数が膨大であるため
途中何度も休憩をはさみながら鑑賞した.
美術館の中にもいくつかカフェがあり,
中で休憩している観光客も多くいた.

途中,巨大な時計の裏側にあったカフェで
ティータイムでもしようかと思ったが
セイゼリアの比にならないほどの装飾画が
天井やら壁やらに描かれた高級感溢れるカフェであったため
美術館の外に出て何度か休憩することにした.

ミュージアムパスは何度美術館から退場しても
無料で再入場できるので非常に役に立った.
(これはルーブルのときも同じであった)

美術館の外の売店で飲み物を買ったのだが
ミネラルォーター150mlが3ユーロもして
ボッタクリ価格であった.
オルセー美術館はセーヌ川沿いの孤立した場所にあり
周囲に飲み物を買う場所がないため
売店は繁盛しているようだった・・・.
4/4(水)0:39

▼真鍋周平
備忘録 新婚旅行編 その59
・続労働者シリーズ(ゴッホ)

オルセー美術館にはゴッホの作品も多く展示されている.
今回の旅行でもオルセーのゴッホ作品は楽しみにしていた.

展示数が多いためゴッホの特設コーナーがあり
「ローヌ川の星月夜」「ゴッホの部屋」自画像シリーズ,
「医師ガシェの肖像」「オーヴェルの教会」
「昼寝」「コールドヴィルの藁葺きの家」などが展示されている.

「ゴッホの部屋」は名古屋のゴッホ展でも見たが
以前よりも色の使い方は明るく感じた.
というか大きさも大きかった.

で,後から調べてみると同名の作品が3点あるらしく
名古屋のゴッホ展に来ていたのは
ゴッホ美術館所蔵のものであったようだ.
同じ作品でもかなり印象が違った.

日本人の例外に漏れず我が家もゴッホ好きで
家にはポストカードが沢山ある.
ゴッホの絵は色彩が美しい分ポスターカード泣かせであり
できの良い写真とそうでない写真で大きな差がでる.

ゴッホ展で買ったポスターカードは非常に良いできであったが
オルセーのポストカードはイマイチであった.
(カレンダーの写真は良いできだった)

個人的にはゴッホ作品の中では黄色と緑白の組み合わせで表現された絵が好きだ.
オルセーの展示物で印象に残ったゴッホ作品も
「昼寝」「コールドヴィルの藁葺きの家」だった.

「昼寝」は農夫(夫婦)が明るい黄色で描かれた麦藁の上で昼寝している絵である.
畑とそれに隣接する農家が鮮やかな緑と白で表現されている.
いずれもお気に入りの作品となった.
4/2(月)23:15

▼真鍋周平
備忘録 新婚旅行編 その58
・労働者シリーズ

以外と多いのが労働者や農夫の
仕事が描かれた絵である.

オルセーで印象に残っているのは
ミレーの「晩鐘」「落穂拾い」,カイユボットの「床に鉋をかける人々」
ゴッホの「昼寝」「コールドヴィルの藁葺きの家」といったところだろうか.

ミレーの「晩鐘」「落穂拾い」は有名所であり
たしか祖母と祖父の家に「落穂拾い」が飾られていたので
小さいときから知っている絵の一つである.
(他にもモナリザがあったと思うが,もしかしたら
遠い昔の旅行でヨーロッパで購入したものなのかもしれない)

どちらの作品も当時の農夫の雰囲気がよく表現されており
貧しさとか素朴さと生活感がにじみ出ている.
そしてどことなく懐かしい風景にも見える.

私の両親は共働きであったため
小さいときには長期連休になると
よく田舎にあずけられていた.
退屈で特にやることもなかったのだが
昔遊んだや田舎の畑や山の雰囲気そのものを思い出す作品であった.

カイユボットについては「床に鉋をかける人々」は
非常にリアルに描かれた作品ではあるが
床にカンナをかけている人のみにスポットを当てて描いているため
なぜこのシーンを選んで絵画にしたのだろう?と
素朴な疑問を感じてしまった.

当時はありふれた日常のシーンを画材に選ぶことが流行っていたようだが
敢えて誰も画材に選ばない風景を取り上げるところに
一つの斬新さがあり,新しい挑戦があったのだろう.
当時の職人の様子を感じる作品であり労働者を描いたもののなかではお気に入りである.

同じように現在のエンジニアの日常風景を描いて
作品にしてもらえる画家というのはいないものだろうか?
4/1(日)10:49

▼真鍋周平
備忘録 新婚旅行編 その57
・裸シリーズ

印象派の代表作であるマネの「草上の昼食」は
まず目を引くところだろう.
森林浴の風景の中に男2人と女1人が描かれており
なぜか女の人は服を着ておらずヌード姿という作品である.

ルネサンス期の絵の「裸」と違い非常な「違和感」を感じる作品である.
画面の中央の目立つ位置に裸の女性が写実的に描かれており
リアリティを演出するため脱いだ服が脇に描かれるという徹底ぶりである.

当時は「不道徳」と酷評されたようだが
確かに非日常感が演出されており,一度見れば強く印象に残る作品である.

クールベ先生の「世界の起源」に至っては
足を開いた裸の女性の生殖器を拡大して描くという問題作で
見る人・・・オルセー美術館に展示されているというその事実だけでも
強い衝撃を受ける作品である.

当時のエロティシズムを表現した作品らしいのだが
正直,絵を見ても全く女性の魅力を感じなかった.

美人とされる顔の形が時代によって変わっていくのと同じように
男性が性欲を感じる絵の好みも時代により違うのだろう.

半角2次元に代表される現在の「絵師」が書いた絵と比べると
当時のエロティシズムはリアリティを追求しすぎたあまりに
不気味の谷に陥るという失敗をおかしているように思える.

対照的にアングルの「泉」に描かれた女性は実にふつくしい・・・
実は新居に引越し以来,この作品のポストカードが
ずっと嫁の部屋に飾られてこともあり,私にとってはお馴染みの作品であった.

アングルの肖像画シリーズはルーブルに所蔵されているが
この画家は女性の魅力の表現というのが本当にうまい.
実寸大で生の色使いを見ると実にふつくしい・・・
3/31(土)16:38

▼真鍋周平@酔っ払い
備忘録 新婚旅行編 その56
印象派とは写実主義から抽象主義に変化する途中であり・・・
とあまり知らない美術史のウンチクを書いても仕方ないので
私なりの考え(ほとんど妄想)を書く.

この時代には芸術家に大きなインパクトを与える二つの発明があった.
一つは「絵具」,もう一つは「写真」である.

「絵具」の作成は画家にとっての重要な技術であり
良い画家=良い絵具職人といった時代が長く続いていた.

しかし,この時代に絵具がチューブ入りで発売されるようになり
誰でも簡単に好きな色を表現できるようになったことで
これまでの色彩表現の価値観が一変した(と私は思う).

もう一つの「写真」の発明は,
それまでの写実主義の芸術家の価値観を一変させた(と私は思う).
絵をリアルに描いたところで所詮,写真には勝てないので
有りのままの現実を写実的に表現することの価値は薄れたというわけである.

そこで時代的な背景や必要性に迫られ登場したのが
「印象派」の芸術家といったところだろうか.

印象派の絵の特徴は写実性に乏しく色彩の鮮やかな点にある.
これも絵具と写真の発明の影響が大きかったのではないかと思う.
(写実性に乏しいといっても近代美術に比べればよっぽど写実的であるが)

<中略>

>>>>>>

産業革命が18世紀から19世紀に起こり
人々の生活習慣が一変したことも印象派の台頭に影響したことだろう.

当時の人々はオートメーションの普及により
第一次産業,第二次産業から開放され
王政が倒れ自由・平等・友愛の価値観が普及し束縛感から開放されることで
各故人の生活の豊かさを創造することが求められる時代だった.

衣食住が満たされることによって生まれた「日常生活への倦怠感」から脱却する
「非日常感への希求」が高まった時代ともいえるだろう.

そうした時代的背景からも芸術家は
新しい表現方法による非日常感が求められていたわけで
<中略>

という旅行に関係のない所感を書いても「備忘録」にならないので
美術館で印象に残ったいくつかの作品について感想を書く.
3/30(金)23:53

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